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■ Appendix 3 ■ 古代エジプトの象形文字フォントの利用について :
Peter Wilson 氏による、 紀元前 3000 年から紀元 400 年頃に用いられた 古代エジプトの象形文字フォント ( hieroglyphic ) を利用するためのパッケージです。
これは Serge Rosmorduc 氏 による体系的な hieroglyph パッケージから、 約 75 程のエジプトの象形文字を集めたものであり、 この象形文字から字訳文字への翻訳コマンドも作成してあります。
Peter Wilson 氏は 2000 年 9 月頃からパッケージを公開しており、 その後改良が続けられています。
この程、2003 年 10 月 28 日に更新されたのを機会に hieroglyphic が利用できるパッケージを、必要なファイルと共に ZIP 形式で アーカイブにした hieroglf.zip として準備しました。
オリジナルファイルは、 CTAN 内の fonts/archaic/hieroglf/ より入手できますが、 初めての方には利用方法がとても分かり辛いようです。
さて今回のパッケージでは、TeXtrace を使って私が作成しました hieroglyphic の Type1 形式の pfb ファイルも hieroglf.zip 内に同梱しておきました。 これにより、Type1 でのフォント埋め込み による綺麗な PS および PDF ファイルの作成が可能になります。
Date: 2003/11/05
第 (1) 項 パッケージの hieroglf.zip について
第 (2) 項 インストール方法
第 (3) 項 確認作業について
第 (4) 項 古代エジプトの象形文字フォントの活用方法
第 (5) 項 PDF ファイル hieroglf.pdf について
▲ To Contents
(1)
パッケージの hieroglf.zip について :
古代エジプトの象形文字フォント
の
hieroglyphic
が簡単に利用できるようなパッケージの
hieroglf.zip
(118,178 bytes; 2003/11/05)
を公開いたします。 オリジナルに忠実な配布形式を採用いたしましたので、
インストール方法を記述したファイル等は敢えて同梱致してありません。 詳細は、
以下のインストール方法を参考にしてください。
hieroglf.zip に同梱の各ファイルのコードは UNIX ですので、 Windows でも Linux でも利用可能です。
★ パッケージ hieroglf.zip は、 Windows 98SE/2000SP4/XP SP1および Vine Linux 2.6 ( GNOME 環境; Kernel 2.4.19 ) にて動作確認をしております。
(2)
インストール方法 :
★
インストールの説明
このパッケージ hieroglf.zip をディレクトリ情報
付きで展開してください。 すると、
2 つのディレクトリである
\hieroglf および \oands
が作成されます。 次は、各ディレクトリ内に作成される同梱ファイルの
説明です :
ディレクトリ hieroglf | 内 容 説 明 |
\hieroglf | hieroglf.tex ( サンプル TeX 文書 ) |
\hieroglf\source | MF file ( 1 個 ) |
\hieroglf\texinputs | hieroglf.sty などの macro files ( 3 個 ) |
\hieroglf\pfb | PFB file ( 1 個 ) |
\hieroglf\map | hieroglf.map ファイル ( 1 個 ) |
ディレクトリ oands | 内 容 説 明 |
\oands | oands.tex ( サンプル TeX 文書 ) |
\oands\source | MF files ( 5 個 ) |
\oands\texinputs | oands.sty などの macro files ( 3 個 ) |
\oands\pfb | PFB files ( 2 個 ) |
\oands\map | oands.map ファイル ( 1 個 ) |
上記のような 2 つのディレクトリ \hieroglf および \oands 内にある各ファイルを、次のように TeX が入っている各ディレクトリ内へコピー していきます ( コピー先を間違えないように注意してください。) :
【 Windows において 】
【 Linux において 】
【 重要な注意事項 】
(3)
確認作業について :
まず最初に、次のような 2 回の確認作業をおこないます。
【 確 認 作 業 1 】
latex oands.texなる入力にてコンパイルいたします。 すると 1 枚の出力が得られるはずです。
これは、象形文字の字訳 として用いられる Odds and Sods の 2 個のフォントです。
【 確 認 作 業 2 】
latex hieroglf.texなる入力にてコンパイルいたします。 なお、この時には目次出力のために、 この操作を 2 回続けて繰り返します。
2 ページ目より : 古代エジプトの象形文字の出力例
以上にて、確認作業は完了します。
古代エジプトの象形文字フォントの活用方法の詳細は、 次節にて述べることにします。
dvi ファイルの作成 : platex sample.tex ps ファイルの作成 においては、次のような 4 通りの方法が考えられます。 Type 1 での埋め込み: dvipsk -D600 -P dl sample.dvi (Windows 版) Type 1 での埋め込み: dvips -D600 -P pdf sample.dvi (Linux 版) Type 3 での埋め込み: dvipsk sample.dvi (Windows 版) Type 3 での埋め込み: dvips sample.dvi (Linux 版) pdf ファイルの作成 においては、次のような 3 通りの方法が考えられます。 Type 1 での埋め込み: dvipdfmx sample.dvi (Windows 版) Type 1 での埋め込み: dvipdfm sample.dvi (Linux 版) Type 3 での埋め込み: ps2pdf sample.ps sample.pdf (Linux 版のみ)
なお、Type 1 での埋め込みがなされた ps ファイルは ps2pdf
(Linux 版のみ)
により Type 1 の埋め込みが可能です。
作成された
PS ファイル
の sample.ps は
GSview 4.5 (Linux 版もあり) または
gv (Linux 版のみ) にて表示いたします。
また、
PDF ファイル
の sample.pdf は
Adobe Acrobat Reader 5.05J (Linux 版もあり) 、
GSview 4.5 (Linux 版もあり) または
gv (Linux 版のみ) にて表示いたします。
(4)
古代エジプトの象形文字フォントの活用方法 :
これから、古代エジプトの象形文字フォントの活用方法について解説いたします。
古代エジプトの象形文字フォント
( hieroglyphic )
の利用には TeX 文書の最初の部分において
\usepackage{hieroglf}と記述すれば、 象形文字フォント の利用が可能になります。
【 注 意 事 項 】
さて、利用可能な 象形文字の一覧表 は、先の第 3 節の 【 確認作業 2 】 において見たサンプル TeX 文書 hieroglf.tex からの出力の 8 および 9 ページ目にあるので、 このページをご覧になって頂くことにしましょう :
8 ページ目より : Table 1 : Coded coding ( 73 文字 )実際の TeX 文書における利用では、9 ページ目にある Table 2: Alphabetic coding ( アルファベット規約 ) を活用するのが良いでしょう。 以下においては、この アルファベット規約 を利用しての説明を行なっていきます。
9 ページ目より : Table 2 : Alphabetic coding ( 74 文字 )
まず最初に、一つの具体例を挙げてみます :
\pmglyph{K:l-i-o-p-a-d:r-a}さらに、この象形文字を字訳文字で表示するには、 次のような入力をします。
\translitpmhg{\HK\Hl\Hi\Ho\Hp\Ha\Hd\Hr\Ha}いかがでしょうか?
Cleopatra ( クレオパトラ ) : 古代エジプトの象形文字での表示と その字訳文字【 参 考 事 項 】
★ 基本コマンド ★
象形文字の表示 | \textpmhg, \pmglyph, \pmvglyph |
字訳文字の表示 | \translitpmhg |
文字を囲む枠の出力 | \cartouche, \Cartouche, \vertouche, \Vertouche |
この基本コマンドを見ると pmhg なる文字が入っているが、これは作者の Peter Wilson 氏が自分自身が 開発した古代エジプトの象形文字フォントを The Poor Man's Hieroglyphic Font と読んでいることに依るものなのである。
■ 象形文字フォントの利用には、上記コマンドと アルファベット規約 を組み合わせていきます。
【 利 用 方 法 1 】
\textpmhg{ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ \\ +?/|}短めの文章では、 \pmglyph を利用する。 コマンド内での改行記号 \\ の 利用は不可である ことに注意すること。
\pmglyph{ABCDEFGHIJKLMNOPQRST}縦書きの文章では ( 欧文なので比較的に短い )、 \pmvglyph を利用する。
\pmvglyph{A:B:C:D:E:F} %%% コロン : を入れることを忘れないこと。
【 利 用 方 法 2 】
\pmglyph{A} %%% A の表示。 \pmglyph{i} %%% i の表示。 \pmglyph{a} %%% a の表示。 \pmglyph{w} %%% w の表示。 \pmglyph{A-i} %%% A, i の順に並ぶ。 \pmglyph{A-i-a} %%% A, i, a の順に並ぶ。 \pmglyph{A-i:w-a} %%% A-i の i が上で、w-a の w が下になる。 \pmglyph{{A-i:w-a}} %%% A-i の全体が上で、w-a の全体が下になる。 \pmglyph{A-i-a:w-a} %%% A-i-a の a が上で、w-a の w が下になる。 \pmglyph{A-i-a:w-a:i-A} %%% A-i-a の a が上で、w-a の w が下。 w-a の a が上で、i-A の i が下になる。
【 利 用 方 法 3 】
\pmglyph{\HA} %%% \HA の表示。 \pmglyph{\Hi} %%% \Hi の表示。 \pmglyph{\Ha} %%% \Ha の表示。 \pmglyph{\Hl} %%% \Hl の表示。 \pmglyph{\Hw} %%% \Hw の表示。 \pmglyph{\HA-\Hi-\Ha} %%% \HA, \Hi, \Ha の順に並ぶ。 \pmglyph{\HA-\Hi-\Ha:\Hw-\Hl} %%% \Ha が上で、\Hw が下になる。 \pmglyph{\HA-\Hi-\Hw:\Ha-\Hl} %%% \Hw が上で、\Ha が下になる。 \pmglyph{\HA-\Hi-\Ha:{\Hw-\Hl}-\HA} %%% \Ha が上で、\Hw-\Hl が下になる。 \pmglyph{\HA-\Hi-{\Ha-\Hw}:\Hl-\HA} %%% \Ha-\Hw が上で、\Hl が下になる。
【 利 用 方 法 4 】
\pmglyph{A-i-a:w-a:i-A}に対する字訳は、
\translitpmhg{\HA\Hi\Ha\Hw\Ha\Hi\HA}
であり、
\pmglyph{\HA-\Hi-{\Ha-\Hw}:\Hl-\HA}に対する字訳は、
\translitpmhg{\HA\Hi\Ha\Hw\Hl\HA}
である。
【 利 用 方 法 5 】
\pmglyph{A-i:w-a}を、太い線または細い線で囲む枠の TeX 文書への入力は、それぞれに次のように します :
\Cartouche{\pmglyph{A-i:w-a}} \cartouche{\pmglyph{A-i:w-a}}
また、縦組みの
\pmvglyph{A:B:C:D:E:F}を、太い線または細い線で囲む枠の TeX 文書への入力は、それぞれに次のように します :
\Vertouche{\pmvglyph{A:B:C:D:E:F}} \vertouche{\pmvglyph{A:B:C:D:E:F}}
さらなる詳細なコマンドの利用に関しては、次節にて 述べる PDF ファイル hieroglf.pdf が参考になる事と思います。
(5)
PDF ファイル hieroglf.pdf について :
古代エジプトの象形文字フォント
( hieroglyphic )
の詳細については、付属のサンプル TeX 文書である
hieroglf.tex
が大変参考になります。
この文書をコンパイルしてできる dvi ファイルの
hieroglf.dvi
から
dvipdfm
を利用して
dvipdfm hieroglf.dviにより、 PDF ファイルの hieroglf.pdf を作成してみました。
休憩時間にでも、 この PDF 文書の hieroglf.pdf (137,388 bytes; 2003/11/05) をお読みになって見てください。
ご覧になると、 pmhg, oandsu10 のそれぞれが Type 1 で埋め込まれている ので、綺麗な PDF 文書に仕上がっているのが確認できることと思います。
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